しろいため息
○ ルームシェア
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高校を卒業し、新しい生活が始まって、早いもので既に4か月が経とうとしていた。
『1か月に少なくとも1回、3人で集まろうね。』
そう、卒業式に約束したのも昨日のように感じる。
私は、担任と両親に説得させられ専門学校で医療事務の勉強。
里奈子は、有名旅館の中居さんをしながらの寮生活。
麗華は、ラーメン屋さんでアルバイト。
みんな進路もしていることもバラバラだけど、ちゃんとその約束は守られている。
今日は4回目の女子会の日だ。
職場の不満と上司の悪口から、毎回のように始まる女子会。
接客の誰々が先輩にイジメられてる、とか。
掃除担当のおばさんが口うるさい、とか。
客にしつこくアドレス聞かれる、とか。
そんなどうでもいい話でいつまでも笑っていられる私たち3人は、本当に馬鹿で本当にお互いを分かり合ってて、本当の友達なんだと思う。
私にとって、とても大切な存在。
「ことりが県外で就職決まったら私もついて行こうかな」
サラダにのっかった真っ赤なトマトをフォークで刺しながら、里奈子は独り言のように呟く。
氷がたくさん入ったオレンジジュースを飲みほして、「彼氏と同棲するしー」なんて言ってみようと思ったけど、彼女の少し真剣な顔に言うのをやめた。
「んで、ルームシェアしようよ! 3人でさ、楽しそうじゃない?」
悪戯っ子のようにはにかむ里奈子と、目を輝かせながら笑う麗華を交互に見詰める。
楽しくないはずがない。
帰ったら、いつでも2人がいる。最高じゃない。
「それ、いいねっ!! 楽しそう!」
賃貸サイトで3LDKの間取りのアパートを調べると、いわくつきそうなアパートから、値段なりのアパート。
見きれないくらいたくさんの物件が出てきた。
「ここ、良くない? 私の部屋ね、コレ」
「え、じゃー私この和室ーっ」
iPhoneの画面にくぎ付けの二人を見ながら、飲みかけのオレンジジュースを口に含む。
「まず……」
あんなに入っていた氷が全部溶けて、オレンジ色と分離している。
そんなにもなるくらい、飽きずにずっとその話をしていた。
先っちょがつぶれたストーローでそれをかき混ぜながら、二人の笑い声を聞いていた。