オズと霧の浸食過程
「嗚呼、明日は子どもたちの外出を禁じないと。……他の奥さんも忘れてるんじゃないかしら。教えてあげないと」
「俺も、明日は腐りかけの果物を用意しなくちゃな」
店主はニヤリと意地の悪そうな笑みを浮かべた。
「あの子はいつも何を買っていくの?」
「そうだな。店においてある木の実ばっかりだなあ…あ、それと、紙と鉛筆は絶対買ってゆくよ」
「あの子、毒の霧のスケッチばかりしてるらしいわよ。頭がおかしいのよ、きっと…」
マーシーは忌々しそうな表情を浮かべ、爪を噛む。
それは、彼女の愛しい夫と愛しい子どもはおよそ目にすることのないだろう汚く恐ろしい表情だった。