オズと霧の浸食過程

「そうだ。明日は買い物に行かなくちゃ…」

パンケーキの最後のひとかけらを呑み込んで、オズはつぶやいた。
ポットや色鉛筆を片付ける手が一瞬だけピタリと止まる。


オズは軽く息を吐いた。


「朝早く出かけて、すぐに帰ってこよう。要るものを今日中に書き出しておかないと」


生きていくために必要最低限の食べ物を得なければいけない。
そのためには一度大通りまで降りて、食べ物を買う必要があったのだが。


大通りに行くことは、オズにとって最大の憂鬱のタネだった。


できることなら行きたくない、というのが本望なのだ。


(けど、最近天候も悪いしな……野菜の取れ高も不安だし、やっぱ買い物に行かなくちゃ…)


深いため息をつき、オズは立ち上がる。

大きなスケッチブックを抱え、バスケットを持ち、また来た道を戻っていく。

暖かい風がブワリと吹き抜け、オズの三つ編みと、ふもとに咲く蒼い花を揺らす。



少し、しょっぱい匂いがした。


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