オズと霧の浸食過程

その日、オズはいつもよりも三十分ほど早く目を覚ました。


外から、ガキン、ゴキンという何か堅いものを打ち付けるような嫌な音を聞いたからだ。


オズはまだぼんやり眠たい頭を揺さぶって、しっかりと眠気を覚ます。


ベッドから飛び降りて、玄関へと走る。


嫌な予感が、した。



「……まさか…」



オズの体の何倍もある大きな木製の扉を押し退けるようにして開けて、庭へと飛び出す。



鈍い音が、ピタリと止んだ。






「なに、してるの……」





オズの目に飛び込んできたのは、オズの小さな農園に入り込んで柵を壊し、花を抜き、実を潰し、耕した土に石やゴミを投げ込む村の子どもたちの姿だった。



やっと咲いた黄色いトマトの茎を靴の底ですりつぶしていた少年が、ア、とわざとらしい声を上げてオズに向き直った。




呆然とするオズに、ニヤニヤとした笑みを浮かべて口先を尖らせる。


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