オズと霧の浸食過程
「……ん…で……」


ボロボロのズタズタになってしまった農園を見て、オズはわなわなと震える。



「なんで、こんなこと……」



しぼり出すような声で言う。裸足のまま出てきたせいで足首の辺りまで泥だらけになっていた。














「魔女は魔女らしくさみしく生きてろよ」











少年がさらりと吐いた言葉が、酷く混乱するオズの思考を貫いた。


トマトの匂いが鼻腔にこびりつく。






「はやく死んじゃえよ」




なんで……




「魔女なら、黒魔術で霧も消せるんだろ。おまえをいけにえにしてさっさと消せよ」





どうして?




「あたしたちのおかげで生きていられるくせに」










どうして、こんなに酷いことをするの?




(この子たちは、何も悪いことしてないじゃない)



オズは、自分の親指の先あたりに落ちている体を半分もぎとられたトマトを摘むようにして拾い上げた。


子どもたちによって玩具のように強く地面に叩きつけられたトマトは、大して力も入れていないのにブチュリと嫌な音を立てて崩壊する。


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