オズと霧の浸食過程
オズは何も悪いことをしたわけではない。

不吉な予言を読み上げてしまったわけでも、秘密の文書を読んでしまったわけでもない。


しかし、ニンゲンというものは群れをなしたとたん、「自分たちと違うもの」を異常なほど毛嫌いする。



肌の色が違う、

目の色が違う、

喋る言葉が違う。



理由なき理由をつけては、その「違うもの」を群れから排除しようとする。




オズも瞬く間に、排除される内の一人になった。



先祖代々「禍々しいもの」「触れてはいけないもの」と戒められ、
誰も理解することができなかったその不気味な記号の羅列を、嬉しそうにスラスラと読み上げ理解してしまったオズはたちまち村中から“魔女の子”と呼ばれ村人から見放された。




あれだけ大切に大切にオズを育てた義母と義父は、オズが魔女だと分かった途端に突き放すようにして家から追い出した。


行き場を失ったオズは必然的に村を出なければいけなくなったが、村長は恐れた。



「もし魔女を野垂れ死にさせてしまって、村に祟りが起きたら……」



度重なる会議の結果、村長は村のはずれの荒地の小屋にオズを住まわせることにした。




毎年村長から送られてくる、腐りかけのわずかな米や野菜の種を育て、オズは生きていた。


ただ、淡々と。


生きていた。





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