陛下と呼ばれましても
何だろう。
呆気なかったね。うん。
「きょ、兄弟……呆気なかっただとよ……」
「……バケモノだよ兄貴……」
ハゲはまだ起きないな。
けっこう良い感じに決まったもんな。
「じゃーな。懲りたら弱いものいじめはしない事。あと人が話してる時に襲わない事。……あ、ねえ、ほんとに落ちて来たのあたしだけだった?」
甚だ不本意ながら、クソ犬の行方が気になる。
だって奴がいなかったら、あたしはこの謎世界から帰れない。
「いえ……姐さんだけでした……」
おい兄貴のほう、あねさんとは何だ。
……そうか。
犬はいない、か。