異国で咲く花
妖刀の秘密
退治屋に依頼される仕事は毎日コンスタントにやってくるわけではない。
化け物退治も落ち着いて事務所では退治以外の仕事を受け付けることもあるのだ。
「お宝の鑑定って・・・そんな鑑定できる人がうちにいるんですか?」
「鑑定士はいないんだけどね、今回のは刀なのよ。
刀に限っていえば、蒜名の目利きは正確でね。
人間に害を及ぼす刀ならすぐわかっちゃうんだって。」
朔良はそういって、いちこに蒜名と仕事の依頼となった刀を見に行ってくるように促した。
依頼主は中崎道場の道場主である、中崎孝道(なかざきこうどう)。
祖父が亡くなって遺品を整理しているときに、問題の刀を見つけたのだという。
そして何が問題なのかといえば、刀を自宅に置いてからというもの同じ夢ばかりを見るらしい。
「どういった夢なのか教えてもらってもよろしいですか?」
「ええ。40歳前後と思われる男が、この刀を使って何の罪もない町の人々を辻斬りしてまわっているんです。
私は夢の中で、『やめろ!』と何度も叫んで止めようとするんですが、男はそんなものは聞こえない様子で、どんどん人を斬っていくんです。
女も小さな子供まで・・・それは無残に突き進んでいって・・・。
そして、最後に私の寝室にたどり着いて。」
「あなたも斬られてしまうんですね。」
「いえ、私は斬られないんです。斬られはしないんですが、その男が私に命令するんです。」
「命令ですか?」
「ええ、『腕におぼえのある剣士を連れて来い。
そいつの血で日緒名をつぶしてやれる。』
って、夢が途切れるまでずっと繰り返すんです。」
「日緒名ですとっ!!!!」
「蒜名さん、その日緒名さんってご存知なんですか?」
「あ、ああ。その人は・・・そのお方は私の剣術の師匠だ。
小さかった頃、近所の長屋に住んでいて冒険心から彼の後をずっとついて行ったら、神社の境内で剣術の稽古を始めて・・・それから、皆に内緒で剣を教えてもらっていた。」
「で、そのお師匠様は今どうしておられるんですか?」
「もうこの世にはいない。」
「えぇ!じゃ、あの刀はその事情を知らずに・・・。
いえ、刀じゃないですね。
刀に宿った意思っていうのかしら?
あっ、そうだわ・・・」
いちこはいつものように愛してるをつぶやいてリズナータを呼び出した。
「な、なんだよ・・・ここんとこ俺はおじゃま虫じゃなかったのかよ。」
「リズったら、そうやってすねてたの?」
「なんで俺様がおまえにすねたりしなきゃいけないんだ!」
「もう、必要だって思ったから呼んだんじゃない。
機嫌なおして・・・ねっ。
この刀に何が住み着いているのか教えてほしいの。」
「刀に住むだと?刀は家じゃねえだろ・・・!!!これは。」
「何かわかったの?」
「こいつは人間たちの言うところの妖刀だ。
刀に妖怪が住んでるわけじゃねえが、持ち主の思念がかなり染みついているといっていいな。
最初は宿敵と戦いたいという思いだけが残っていたのだろうけど、こいつはもうかなりの剣客の生気や血を吸って狂ってる。
俺やおまえは剣術なんてやらないから、気持ちの悪い刀程度ですんでいるが剣を扱えるヤツには毒になる刀だ。
とにかく粉砕してしまわないと。・・・っておい、嘘だろ!
いちこ!逃げろ。刀がおまえの方に・・・っ、間に合わないのか!!」
妖刀はいちこ目がけて突き進んでいった。
「わ、私は剣なんて・・・何も・・・いや、助けて。」
「いちこっ!伏せろ。」
カキーーーーーーーーン!
蒜名が間一髪、いちこの髪を数本切り落としたところで刀をはじきとばした。
化け物退治も落ち着いて事務所では退治以外の仕事を受け付けることもあるのだ。
「お宝の鑑定って・・・そんな鑑定できる人がうちにいるんですか?」
「鑑定士はいないんだけどね、今回のは刀なのよ。
刀に限っていえば、蒜名の目利きは正確でね。
人間に害を及ぼす刀ならすぐわかっちゃうんだって。」
朔良はそういって、いちこに蒜名と仕事の依頼となった刀を見に行ってくるように促した。
依頼主は中崎道場の道場主である、中崎孝道(なかざきこうどう)。
祖父が亡くなって遺品を整理しているときに、問題の刀を見つけたのだという。
そして何が問題なのかといえば、刀を自宅に置いてからというもの同じ夢ばかりを見るらしい。
「どういった夢なのか教えてもらってもよろしいですか?」
「ええ。40歳前後と思われる男が、この刀を使って何の罪もない町の人々を辻斬りしてまわっているんです。
私は夢の中で、『やめろ!』と何度も叫んで止めようとするんですが、男はそんなものは聞こえない様子で、どんどん人を斬っていくんです。
女も小さな子供まで・・・それは無残に突き進んでいって・・・。
そして、最後に私の寝室にたどり着いて。」
「あなたも斬られてしまうんですね。」
「いえ、私は斬られないんです。斬られはしないんですが、その男が私に命令するんです。」
「命令ですか?」
「ええ、『腕におぼえのある剣士を連れて来い。
そいつの血で日緒名をつぶしてやれる。』
って、夢が途切れるまでずっと繰り返すんです。」
「日緒名ですとっ!!!!」
「蒜名さん、その日緒名さんってご存知なんですか?」
「あ、ああ。その人は・・・そのお方は私の剣術の師匠だ。
小さかった頃、近所の長屋に住んでいて冒険心から彼の後をずっとついて行ったら、神社の境内で剣術の稽古を始めて・・・それから、皆に内緒で剣を教えてもらっていた。」
「で、そのお師匠様は今どうしておられるんですか?」
「もうこの世にはいない。」
「えぇ!じゃ、あの刀はその事情を知らずに・・・。
いえ、刀じゃないですね。
刀に宿った意思っていうのかしら?
あっ、そうだわ・・・」
いちこはいつものように愛してるをつぶやいてリズナータを呼び出した。
「な、なんだよ・・・ここんとこ俺はおじゃま虫じゃなかったのかよ。」
「リズったら、そうやってすねてたの?」
「なんで俺様がおまえにすねたりしなきゃいけないんだ!」
「もう、必要だって思ったから呼んだんじゃない。
機嫌なおして・・・ねっ。
この刀に何が住み着いているのか教えてほしいの。」
「刀に住むだと?刀は家じゃねえだろ・・・!!!これは。」
「何かわかったの?」
「こいつは人間たちの言うところの妖刀だ。
刀に妖怪が住んでるわけじゃねえが、持ち主の思念がかなり染みついているといっていいな。
最初は宿敵と戦いたいという思いだけが残っていたのだろうけど、こいつはもうかなりの剣客の生気や血を吸って狂ってる。
俺やおまえは剣術なんてやらないから、気持ちの悪い刀程度ですんでいるが剣を扱えるヤツには毒になる刀だ。
とにかく粉砕してしまわないと。・・・っておい、嘘だろ!
いちこ!逃げろ。刀がおまえの方に・・・っ、間に合わないのか!!」
妖刀はいちこ目がけて突き進んでいった。
「わ、私は剣なんて・・・何も・・・いや、助けて。」
「いちこっ!伏せろ。」
カキーーーーーーーーン!
蒜名が間一髪、いちこの髪を数本切り落としたところで刀をはじきとばした。