異国で咲く花
いちこの夢の中で、色とりどりの本が飛び交う。
旅の始まりだった紫の本、祐希が持っていた青い本、七杜が読んだ赤い本・・・。
そして、まだ見ぬ黄色、橙、緑・・・色とりどりの本がどこかに吸い込まれていくような。
「弟が迷惑をかけてすまなかったな。
本は回収させてもらったぞ。
おまえのおかげで弟は魔界の反逆者とならずにあっちの世界でやっていけることになった。
我が魔界も無事に支配できることになった。礼を言うぞ。
我の権限でもう魔の者がおまえに関わることはないだろう。
あとは弟が仲間たちとおまえに幸を与えに来るかもしれんがな・・・」
「弟?・・・あなたは魔王さん・・・。」
なぜか自分に礼をいう魔王の言葉に、いちこはまさかね・・・と自分の言葉をのせた途端、現実に引き戻されるのだった。
「いちこ、いちこっ、しっかりしなさい!」
「あれ・・・おかあさん?私・・・どうして・・・家で寝てるの?」
「何言ってるの。あんた突然倒れたって警察から電話があって、病院にかつぎこまれたけど、どこも異常がないからって家に連れて帰ってきたんじゃないの。
脳震盪でまる3日も寝たまんまだったのよ。
お腹すいてるでしょ、すぐにご飯を持ってくるわね。」
夢???
いったい現実のいちこに何が起こっていたのか?
いちこにはどうしても思い出せない。
宇名観でのことは鮮明に思い出せるのに、現実のこの世界にいるいちこは眠っていただけとは・・・。
だが、ここはいちこの自宅に違いなかったし、自分は高校生なんだということが部屋から見ても思い知らされた。
「夢であって、夢じゃない・・・。
あっ、七杜さんは?手を離さないようにぎゅっと握ってもどってきたはずなのに・・・。
どうして、ここに七杜さんはいないの?どこに行っちゃったの?
まさか・・・はぐれたなんてことって・・・嫌だ。時空のどこかにまぎれちゃったなんて嫌だ、嫌っ!」
しかし、そんなことを現実の世界でつぶやいても、家族や学校の友達は面白い夢だったねしか言ってくれない現実しかなかった。
そして、いちこは18才になり、誕生日に宇名観のことを忘れたくないと思い、ノートに出会った人たちのことを刻銘に書き記すことにした。
退治屋のメンバーひとりひとりのこと。
胡紗々や綱樹のこと。
そして、七杜のこと。
(物語でも、空想の世界だと言われてもいい。
私にとってすばらしい思い出の人たち。
忘れるわけにはいかない。
毎日が命をも危ない戦いの日々だったけれど、だからこそ現実の世界にはない生きてる実感があった。)
しっかりと書き連ねてノートを机の引き出しの奥深くにいちこはしまいこんだ。
そうしないと、今現実の自分があまりにつまらない日々を送ってる気持ちになって生きていけそうにない気がしたからだった。
旅の始まりだった紫の本、祐希が持っていた青い本、七杜が読んだ赤い本・・・。
そして、まだ見ぬ黄色、橙、緑・・・色とりどりの本がどこかに吸い込まれていくような。
「弟が迷惑をかけてすまなかったな。
本は回収させてもらったぞ。
おまえのおかげで弟は魔界の反逆者とならずにあっちの世界でやっていけることになった。
我が魔界も無事に支配できることになった。礼を言うぞ。
我の権限でもう魔の者がおまえに関わることはないだろう。
あとは弟が仲間たちとおまえに幸を与えに来るかもしれんがな・・・」
「弟?・・・あなたは魔王さん・・・。」
なぜか自分に礼をいう魔王の言葉に、いちこはまさかね・・・と自分の言葉をのせた途端、現実に引き戻されるのだった。
「いちこ、いちこっ、しっかりしなさい!」
「あれ・・・おかあさん?私・・・どうして・・・家で寝てるの?」
「何言ってるの。あんた突然倒れたって警察から電話があって、病院にかつぎこまれたけど、どこも異常がないからって家に連れて帰ってきたんじゃないの。
脳震盪でまる3日も寝たまんまだったのよ。
お腹すいてるでしょ、すぐにご飯を持ってくるわね。」
夢???
いったい現実のいちこに何が起こっていたのか?
いちこにはどうしても思い出せない。
宇名観でのことは鮮明に思い出せるのに、現実のこの世界にいるいちこは眠っていただけとは・・・。
だが、ここはいちこの自宅に違いなかったし、自分は高校生なんだということが部屋から見ても思い知らされた。
「夢であって、夢じゃない・・・。
あっ、七杜さんは?手を離さないようにぎゅっと握ってもどってきたはずなのに・・・。
どうして、ここに七杜さんはいないの?どこに行っちゃったの?
まさか・・・はぐれたなんてことって・・・嫌だ。時空のどこかにまぎれちゃったなんて嫌だ、嫌っ!」
しかし、そんなことを現実の世界でつぶやいても、家族や学校の友達は面白い夢だったねしか言ってくれない現実しかなかった。
そして、いちこは18才になり、誕生日に宇名観のことを忘れたくないと思い、ノートに出会った人たちのことを刻銘に書き記すことにした。
退治屋のメンバーひとりひとりのこと。
胡紗々や綱樹のこと。
そして、七杜のこと。
(物語でも、空想の世界だと言われてもいい。
私にとってすばらしい思い出の人たち。
忘れるわけにはいかない。
毎日が命をも危ない戦いの日々だったけれど、だからこそ現実の世界にはない生きてる実感があった。)
しっかりと書き連ねてノートを机の引き出しの奥深くにいちこはしまいこんだ。
そうしないと、今現実の自分があまりにつまらない日々を送ってる気持ちになって生きていけそうにない気がしたからだった。