花びらとともに、散りぬるを。
「意外とって…おい。」呆れ顔をする佐々木。
──少女は嬉しそうに微笑んだ。
「…で、い、いるの?」
恐る恐る視線を佐々木に向けると、佐々木は複雑そうな表情を浮かべている。
───少女は駆け足で私達との距離を縮めていく。
嫌な胸騒ぎがした。
「好きな人は…」
「斗真!!」
後ろから佐々木の名を呼ぶ女の子の声が聞こえてきた。
え、誰………?
勢いよく振り返ると、そこには息を切らした小柄の女の子が立っていた。
あ、この子知ってる。
同じクラスになったことないから詳しくは分からないけど……橘さんだ。
性格が良いと評判でー…、前に佐々木に片思いしついると噂で聞いた。
なのに。
「柚果。」
佐々木は彼女を下の名前で呼んだ。
しかも呼び捨てで。