花びらとともに、散りぬるを。
「じゃあな。」
「気をつけてね、佐藤さん!」
2人に手を振って、私は1人で歩き始めた。
少し歩いてから後ろを振り向くと…佐々木と橘さんの2人で歩く姿。
その後ろ姿は、、
身長差も。
雰囲気も。
2人の距離も。
2人だけの世界を作ってている様で。
───ちょっと辛いな。
『こいつ、柚果。
一緒に帰ってもいい?』
紹介してくれるなら、どんな関係なのか教えてくれてもいいのに。
『1人だと危ないだろ。』
橘さんのことそんなに大切に思ってるんだね。
…失恋決定かな。
私と佐々木の距離は、一歩進む度に開いていく。
『好きな人は…』
続きを聞かなくて、正解だったのかもしれない。
この時、初めて人を好きになる辛さを知った。
暖かな色をした夕焼けの光が、私を慰めるかの様に包んでいたが…
後ろ姿や影にはもの悲しさがどことなく現れていた。