花びらとともに、散りぬるを。



私が佐々木に話しかけようとする時に限って、


『斗真いる~?』


なんて、可愛い声がすると思ったら、橘さんだったり。


最近、橘さんが教室へ斗真に会いにくることが増えた。


それから、数学の宿題が出なくなった。

先生曰わく、
『もうラストスパートの時期だ。宿題は出さないから、今自分に必要なことをやりなさい』とのこと。


そうなれば、当然一緒に帰ることもなくなる訳で。




そして。

「ねー佐藤ー?」

「何?」


急に加藤と話すことが増えたこと。


「はい、あげる!」


そう言って、手渡してきたのはキットカット。


「え…?」


「受かるように♪」


「いや、なんか悪いよ……」


「いいって。」


そう、私立単願にしたら、なんと加藤も同じ学校を受けるらしい。


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