花びらとともに、散りぬるを。
教室の前の方のドアが開き、そこに立っていたのは……佐々木だった。
「…無事に、合格しました。」
息を切らしながらも笑顔でいう佐々木に、みんなで拍手を送る。
「本当、心配させんなよなー。」
ホッとした表情で青山が言うと、
「すみません…電車が止まっちゃって。」
話しながら、自分の席───私の隣の席に着く。
…本当によかった。
ちゃんと…伝えなきゃ。
「おめでとう。」
私は佐々木に聞こえているか分からないくらいの小さな声で……でも、ちゃんと顔を見て伝えた。
「…おうっ」
佐々木は一瞬驚いた表情を浮かべたが、すぐにいつもの笑顔で返事をしてくれた。
会話、出来た。
自分から、また声かけれた。
正面から、顔を見れた。
些細なことだけど、私にとっては重要なこと。
………でも。
結局、美帆を学校で見かけることはなかった──……。