花びらとともに、散りぬるを。
「引越は悲しいけど…その話は今は話したくないんじゃないかしら?
それは晴華が聞きたいだけでしょう?」
言われて、始めて自分のことしか考えてなかったことに気付く。
「美穂ちゃんにとって晴華は大切な存在なのよ。
だからこそ、晴華も一番傷つけずに支えられる方法を考えたらどうかしら?」
…そっか。
青山も言ってたな、
お母さんみたいなこと。
側にいてあげるのが
一番支えになると思ってたけど…
多分、美穂なら独りで
いたいはず。
助けが必要なら、それこそ私に助けを求めるだろう、美穂はそんな子だ。
「ありがとう、お母さん。」
美穂の為、と思って、本当は自分の為だったんだな。
「やだ、そんな大したこと言ってないわ。」
お母さんはそう言って、微笑んでくれた。
「さ、紅茶でも飲みましょ?」
お母さんが淹れてくれた今日の紅茶は、いつもより味が濃くて…
大人の味のような気がした。