花びらとともに、散りぬるを。






「おはよ。」

「あ、佐藤。はよ。」



無事に受験は終わり、私達は卒業まで残された時間を穏やかに過ごしている。



「今日の卒業式練、寝ないでよ?」


「あぁ…多分ムリ。」



美穂は滑り止めの私立に通うことに決めたみたいで、翌日にはいつも通りだった。


受験番号がなかった話とか…その後泣いた話とか…、


淡々と語る姿は、もしかしたら平然を装っているのかもしれないけれど…その精神力の強さに感心せずにはいられない。




そんな、いままでと変わらない日常に戻ったと思われたが、受験の前後で小さな変化が起こった。



それは───


「また私起こさないといけないのやだもん。
今日こそ知らないフリするからねっ」






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