花びらとともに、散りぬるを。
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「渡邉 葵」
「はい」
ただいま卒業式練習の真っ只中。
にも関わらず、私のお隣さんは船を漕いでいて、只今夢の世界にいるようだ。
そろそろ、起こしてもいいよね……。
佐々木を起こすのに、どうしても躊躇してしまう。
だって、考えてもみてよ。
受験のために自分の好きなゲームをずっと我慢してきたんだよ?
だから、ついつい甘やかしてしまうというかー…寝顔も可愛いからいいかなー…とか。
考えてしまうのです。
でも、残すとこあと1クラスとなった。
まあちょうどいいか、なんて考えながら私は佐々木の肩をポンと軽くたたく。
すると、ピクッと体を揺らして重い瞼を開く佐々木。