恋愛、友情。ときどき涙。2

あの子の元へ行けば、場所を変えて話がしたいと言うから黙ってついていった。

人気のない場所までくると、彼女は足を止めた。


「あ、あの……杉山君」

「ん?」

「あ、あたし……佐藤ユミっていうんだけど……覚えてる?」

「あぁ……去年同じクラスだったよな」


いくらなんでもたった一年前に同じクラスだった奴の顔を忘れるわけがない。

そこまで記憶力悪くないし。


だけど、彼女……佐藤は俺の言葉にとても嬉しそうな顔をして笑った。


……その顔に罪悪感を覚える。


この後何を言われるかぐらい、容易に想像できる。

俺だって何度かこういう経験はあるし。

その度に断ってきたけど。


「あの……あのね、杉山君……」


……顔を真っ赤にしながらたどたどしく言葉を紡ぐ彼女。


「あたし……杉山君のことが……好きです!」


……予想していた言葉。

だけど、どう答えるべきか悩む。


想いが叶わない辛さを……知っているから。

嫌という程に味わってきたから……。


「……ごめん」


いろいろ考えた末に出てきた……たった一言。

ありがちな一言。


「……そ……そうだよね……」


そう言って彼女は無理して作ったような笑顔を見せる。


「うん……結果は分かってた。
でも伝えたかっただけだから……ごめんね」

「いや……俺の方こそ……」

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