恋愛、友情。ときどき涙。2
「やっぱ……あれだよね。
音羽みたいな……ああいう子が好きなんだよね」
「……は?」
音羽、という言葉が出てきて思わず反応してしまう。
「……何それ、どういう意味?」
「え?
あ、いや……深い意味はないけど……。
そうなのかなって……」
俺の声が思ったよりも冷たかったのか、彼女は少し委縮しながらそう答えた。
「……前、音羽と杉山君って噂あったし」
……それは知ってる。
でもそんなのは中学の頃もあったし、そんな噂自体はよくあることだし気にしていなかった。
ただ……本当のことを聞かれると
"ただの幼なじみだ"
……そう答える度に胸が痛んだのをよく覚えてる。
「……あたしもだけど、それ聞いて杉山君のこと諦めた子もいると思うよ。
相手が音羽じゃ敵いっこないし」
「……音羽じゃなかったらよかったわけ?」
「それは……分からないけど。
でも、杉山君じゃなくても……例えば三上と音羽が噂になってたとしたら、三上のことが好きな子は諦めるかも。
それぐらい音羽の存在って大きいんだよ」
"杉山君が心配してるのは………音ちゃんじゃ……ないの――?"
……ふと、沢木の言葉が甦る。