恋愛、友情。ときどき涙。2


もっと自然に接したいのに……それができない。


あー……もう。


嫌になっちゃう……。


もう一度綾乃の方を見れば、もう綾乃はあたしの方を見ていなかった。

視線を下に落とし、開けっ放しのカバンの中をじっと見ていた。


……今日はここまで、かな。


そう思って、あたしも自分の席に座ろうと体の向きを変えた時だった。


「あ、あの……音ちゃん!」


声をかけられた。

名前を呼ばれた。


あたし……?

あたしに話しかけたんだよね⁉︎

少し嬉しい気持ちが広がる。


「な、何……?」

「あの……あのね!」

「うん……」

「私……音ちゃんともう一度ちゃんと話がしたい……」


綾乃……。


……あたしは綾乃の顔を見ながらゆっくり頷いた。


「……うん。
あたしも話がしたい」


あたしがそう言うと綾乃はちょっと嬉しそうに笑った。

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