恋愛、友情。ときどき涙。2


教室を出て、二人で人気のない空き教室に入る。


何日か前に屋上で向かい合った時よりも緊張してる自分がいる。


ここに来る間もあたし達は一言も話さなかった。


何を言ったらいいか分からなくて……。


気まずさの中やってきた、この場所。


「あのね、音ちゃん」


先に口を開いたのは綾乃だった。


「この前……逃げちゃってごめんなさい」

「あれは……あたしが悪かったんだよ。
ごめんね、変なこと聞いたりして」


でも綾乃は………海斗が好きなのかもしれないって、そう言ってた。


もう一度確認なんてしないけど……


あれは綾乃の本当の気持ち……。



前は……気づいてあげられなかった。

綾乃が湊先輩のことが好きだって……気づいてあげられなくて、綾乃が陰で泣いてることなんて知らなくて……。

気づいたところであの時のあたしに何ができたかなんて分からないけど……


……責めた。

自分を責めた。


綾乃の話しを何も聞いてあげられなかった自分を。

浮かれていた自分を。


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