恋愛、友情。ときどき涙。2

アサちゃんのクラスに行くと、ちょうどホームルームが終わって生徒が教室から出てくるところだった。


「亜沙美ー」


音ちゃんが教室の入り口から顔を覗かせてアサちゃんを呼ぶ。


「ちょっと待ってて」


そんな返事が聞こえてくる。

まだ帰り仕度終わってないのかな……?


私がそんなことを思っていると……見覚えのある生徒がこちらに歩いてきた。


「杉山君……」


思わず小さな声でその名前を呟く。


杉山君はまっすぐ出口であるこちらに歩いてくる。


「……………」


まっすぐ歩いてくる杉山君と扉付近で教室の中を覗いていた音ちゃんの視線がパチリと合った。


どうするんだろう……


「…………………」


……音ちゃんは黙ったまま静かに杉山君から視線をそらし、アサちゃんのいる方を見た。

……杉山君はそんな音ちゃんに何か言いたげな顔をしていたけど……そのまま音ちゃんの横を通り過ぎて教室を出た。

< 110 / 126 >

この作品をシェア

pagetop