恋愛、友情。ときどき涙。2
「っ……杉山君!」
ちょっと走るとすぐに見えた、杉山君の姿。
ためらいもせずに声をかけると、杉山君は足を止めてこっちを見てくれた。
「……沢木?」
「違うの……あれは違うんだよ!」
「……は?」
咄嗟に出た言葉は脈絡も何もなくて、杉山君には上手く伝わらなかった。
「だから、あのっ……!」
「あー……分かったから。
とりあえず落ち着けって」
そう言いながら杉山君は私の後ろを確認する。
「アイツらは?
待ってたんじゃねぇの?」
アイツら……。
多分音ちゃんとアサちゃんのこと。
「多分……大丈夫。
でも、それよりも杉山君に話さなきゃいけないことがあって……!」
「俺に?」
杉山君は少し驚いたような顔をした。
「どうしても、今……。
……ダメ……かな……」
突然だし……
杉山君だって部活とかあるだろうし……
勢いで呼び止めたはいいものの、私の声は段々と小さくなっていく。
だけど、杉山君は私の顔を見て小さく微笑んでくれた。
「じゃあ……久々にあそこに行くか」