恋愛、友情。ときどき涙。2

「っ……杉山君!」


ちょっと走るとすぐに見えた、杉山君の姿。

ためらいもせずに声をかけると、杉山君は足を止めてこっちを見てくれた。


「……沢木?」

「違うの……あれは違うんだよ!」

「……は?」


咄嗟に出た言葉は脈絡も何もなくて、杉山君には上手く伝わらなかった。


「だから、あのっ……!」

「あー……分かったから。
とりあえず落ち着けって」


そう言いながら杉山君は私の後ろを確認する。


「アイツらは?
待ってたんじゃねぇの?」


アイツら……。

多分音ちゃんとアサちゃんのこと。


「多分……大丈夫。
でも、それよりも杉山君に話さなきゃいけないことがあって……!」

「俺に?」


杉山君は少し驚いたような顔をした。


「どうしても、今……。
……ダメ……かな……」


突然だし……

杉山君だって部活とかあるだろうし……


勢いで呼び止めたはいいものの、私の声は段々と小さくなっていく。


だけど、杉山君は私の顔を見て小さく微笑んでくれた。


「じゃあ……久々にあそこに行くか」

< 112 / 126 >

この作品をシェア

pagetop