恋愛、友情。ときどき涙。2

「……音ちゃんだって、本当はあんなことしたくないんだよ。
音ちゃんは……本当は前みたいに杉山君と仲良くしたいんだよ」


……音ちゃんが杉山君のことを大切に思ってるのは知ってる。

それが家族みたいな存在としての大切だってことも。

音ちゃんのことを一番分かってあげられるのは……結城先輩でも、アサちゃんでも、三上君でも……私でもなくて。

小さい頃からずっと一緒に育ってきた……杉山君なんだってことも。

私だけじゃなくて……そんなこと、二人のそばにいれば……みんな分かってると思う。


「……知ってるよ」

「……え?」


まさかの返事に私は驚く。

すると、杉山君は小さく苦笑いをした。


「アイツ……顔に出やすいから。
俺と本気でケンカした時なんか、すっげぇ顔で睨んでくんの。
本人はポーカーフェイス気取ってるつもりなんだろうけど、全然……ていうか寧ろ、全部顔に出るんだ」


でも……、と杉山君は続ける。


「……今回はそれがなかった。
最初は俺が知らない内に何かしたのかと思ってたけど……。
……なんか沢木とギクシャクし始めてからおかしかったし、それ関係で何かあったのかなって……」


……分かってたんだ。

それでも、詳しいことは何も聞かないで……ただ、あんな音ちゃんを見てるだけで……。


「……でも、それでもいいって思った」

「……え……何で……」


いいわけないよ……

だって……だって……!


「アイツがこのまま俺のこと避けてくれたら……俺も吹っ切れそうだし。
……アイツへの気持ち」


っ……………。


杉山君………。


杉山君は笑った。

苦しそうな顔で……それでも、私の顔を見て笑顔を作った。


苦笑……?失笑……?

ううん……そんな言葉じゃ表せないぐらい……苦しそうだった。

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