恋愛、友情。ときどき涙。2


「中学生になったあたりかな……。
海斗のことが好きっていう子が何人かいて。
でも、その子達はいつも海斗の傍にいるあたしのことをあんまりよく思ってなくて。
……その頃から何となく思ってた。
いつかは……それこそ、海斗に彼女ができたらあたしは海斗から離れなきゃいけないんだって」


音ちゃん……。


「そりゃそうだよね。
彼女の立場からしたら彼氏の傍を他の女の子がウロチョロしてたら嫌だもん。
だから……いつかはこうなるって、そう思ってた」


だから……と音ちゃんは私の目を見る。


「だから……綾乃のせいじゃないよ。
綾乃は気にしなくていい。
……これでいいの」


……いいわけない。

いいわけないよ……。

これでいいなら……何でそんなに寂しそうな顔をしてるの?

どうして……そんなに辛そうなの……?


「音ちゃ……」

「ごめん……くーちゃん探してくる」

「あっ……」


音ちゃんは逃げるように教室から出て行く……。


……言えなかった。

思ったこと……何も。

音ちゃんに伝えられなかった……。


また……。

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