恋愛、友情。ときどき涙。2
部長ともなれば今までみたいにお気楽にはやってられない。
優勝とかどうでもいいとか、そんなこと言ってられない。
だけど、今まで優勝なんぞを目標にして頑張ったことがない。
だから何をどうしてみんなを引っ張っていったらいいのかさっぱり分からない。
「はぁ……」
いっそのこと部活ごと辞めてしまおうか。
そんなことも考えたことはある。
それほど俺は気が重くて重くて仕方ない。
「……あ」
俺は遠くに見覚えのある人影を二つ見つけた。
……音羽と空。
それに他のバスケ部員もいる。
もう部活終わったのか。
早いな。
二人は他の部員と楽しそうに話しながら帰っていく。
そんな姿を見ながら俺はこの前のケーキバイキングを思い出していた。
例のごとく音羽にごねられて連れていかれたケーキバイキング。
別に甘いものはそこまで好きじゃないけど……
何だかんだあのメンバーは楽しい。
……アイツもいたしな。
……今、アイツ何してんのかな。
俺はオレンジがかった空を見上げながら……たった一人の顔を思い浮かべた――