恋愛、友情。ときどき涙。2
「結局……ただ責任を負うだけの損な役回りじゃないっすか。
学級委員も……部長も」
「海斗……」
「本当にあの頃の俺からしたらショックだったんすよね。
……裏切られたっていうか、そういうのを初めて体験したもんだから」
……あれが原因で今も引きずってるって……。
俺は思っていたよりも繊細にできてるみたいだ。
そんなことを考えながら自嘲気味に笑った。
「それは……海斗は部員達を信用してないってこと?」
「そういうわけじゃ……」
「そういう風に聞こえるよ。
サッカー部の奴らが聞いたらきっと」
……そうだな。
……そうだよな。
……だから……俺は陽太には言えなかったのかもしれない。
「あの時はそういう結果になってしまったかもしれないけど……今はそうなるとは限らないだろ」
「……そうっすね」
それは分かってる。
分かってるけど……。
「海斗が心から相手を信頼すれば、きっと相手も海斗のことを信頼してくれる……そう俺は思うけどな」
信頼……。
「海斗にはたくさんいるだろ?
信頼できる大切な人達が」
大切な人……。
……その時、俺の頭に真っ先に思い浮かんだのは……
陽太でも……空でも……小倉でも……
前なら真っ先に思い浮かんでいたであろう音羽でもなくて……
……沢木の……あの柔らかな笑顔だった。