恋愛、友情。ときどき涙。2
廊下を歩きながら、胸が痛むのを感じる。
……もう考えるのはやめよう。
考えたって……今の俺には答えなんかだせない。
そう思い、小さくため息をついた……その時だった。
「ん………?」
向こうから誰かが走ってくるのが見えた。
女子生徒だ。
だんだんと近づいてくる……と、それが誰なのか分かった。
「沢木……?」
顔を伏せて一心不乱に廊下を走ってくる沢木。
その姿だけで普通ではないことが見て取れた。
沢木は俺に気づくことのないまま通り過ぎようとしていく。
……その瞬間、
沢木が俺の横を通った……本当に一瞬。
沢木の目から光る何かが見えた。
「っ……おい!」
それが涙だと分かったのは、俺が無意識の内に沢木の腕を掴んだ後だった。