傾国
反対されることは予想していた。
皇族付き武官は過酷な仕事だ。
鍛練の量は、時世が穏やかでも並みの兵士とは比べ物にならない。
いざとなれば己を殺してでも主を守らなければならず、主に傷がつけば最悪極刑だ。
余計なしがらみや危うい交わりを持たぬよう、皇宮からの出入りや交遊関係も厳しく制限されている。
実家にさえ、年に一度帰れるかどうかといったところだ。
しかも守るべきは皇太子。
彼が即位すれば、地位は自動的に皇帝護衛官に変わる。