傾国
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部屋の中は活気に満ちていた。
大人たちに混じって、礼は窓辺の長机に居場所を確保した。
ここは家の近くにある私塾だ。
瑞翔にはこうした私塾がいくつもある。
過去の試しに出た問、昔題を解くのが主で、退官した老人たちの収入源になっているのだ。
師がやってくるのを待つ間、塾生たちは各々相手を見つけては論を戦わせていた。
暁は内政を重視すべきか外交を重視すべきか。
役所が資金不足で民の生活に支障が出ている時、賄賂を持ちかけれたらどうするか。
諫言が聞き入れられなければどうすべきか。
漏れ聞こえてくる議論は刺激的で、自分なりに頭の中で答えを考えていると面白い。