傾国



飯屋に行くと言う揮祥にくっついて行こうとして、葉慶が礼を誘い、三人は今、鶏と香菜の汁物で体を温めていた。


職人風の男が数人酒を舐めているだけで、店は空いている。


この時間は良いんだよ、と揮祥は言っていた。



「そういや今度、(きつ)の太子が皇都入りするんだよな」



猫舌らしい葉慶が、もうもうと湯気の立つ碗に息で立ち向かいながら言った。



「譎……西の方の自治国?」



尋ねると、揮祥が頷いた。



「もうすぐ降臨祭だろう? 譎王が病らしくて、名代で来るんだと」




「だからさ! 見に行かないか?」



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