傾国



皇祖神が地へ降臨したことを祝う祭りが、降臨祭である。


皇帝の見舞いにと、譎太子は大量の薬を馬車に積んで来ていた。


彼が来たのは、病を得た父王の名代だ。


本当なら父の物である薬を捧げなければならない、その胸中はいかばかりか。



問うた所で、暁の皇太子の自分に答えてくれる訳もないだろうが。



時折、馬車や官吏がつけている金飾りが日を弾いて目を射す。


ちらり、ちらりと光る金銀が鬱陶しくて、瞳を閉ざしてしまいたくなった。















「――!?」





傍らで、武官の一人が身を固くした。



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