傾国
皇城に近づくにつれ、提灯を持ち早足で歩く人を多く見かけるようになった。
向かう方向は同じだ。
皆、一様に緊張した面持ちで、時折震えながら息を吐く。
彼らも試しを受けたのだ。
もしかしたら、この中に共に働くことになる仲間がいるのかもしれない。
不思議なことに、礼は昨晩から全く緊張していなかった。
なるようになる。
なったらなったで、その後のことはそれから考えれば良い。
そんな思いが頭の芯にずっとあり、だから皇城に着いた時も、そう震えるようなことはなかった。
人はそこそこ集まっていたが、まだ城門に結果は貼り出されていなかった。
提灯の火で暖を取りながら、礼はその時を待った。