傾国
「お前も及第したか。良かった、葉慶が喜ぶよ」
「三人で皇城に行けるな」
互いを祝いながらのんびり葉慶の後についていくと、やがて困惑したような表情の彼女に行き合った。
「ですが、それはただ母の感情であって、試しを受けたのは私ですし」
「分かっている分かっている。だがな、さっきから言うように、母御がどうしてもと言って本当に聞かんのでな」
「……」
きつい面持ちで俯いてしまった葉慶に、揮祥が尋ねた。
「おい、どうしたんだ?」
「……母が、私の及第を取り消せって、乗り込んできたらしい」
「お母上が?」
こく、と頷いた葉慶は、今までに見たこともないような焦りと憤りの表情を浮かべていた。
「葉慶!」
女人の声が、皆の視線を門の内に向けた。