傾国
「母上、家のことならご心配なく。養子を迎えれば良いと父上にお話ししたら、許して下さいました」
「養子? お前は、百五十年続く姜家を赤の他人に継がせると言うの!」
「母上、父上がお許し下さったのですよ?家の大事を決めるのは母上ではなく父上です」
「こんなことは言いたくないけれど、父上は婿として姜家に入った方です。系図で見れば家を継いでいるのは私です!」
傍目にも、葉慶の我慢がそろそろ限界なのが分かる。
彼女の心中を、その母だけが計れないでいた。
「あなたには、姜家の一員だという自覚が――」
「たかが分家の一つでしょうっ!!」