傾国
「姜葉慶。黙って試しを受けた、とは?」
「父には試しを受けて良いと許しを頂きました」
「母上に黙っていた、とは?」
「……家の万事は父が決めることですし、母が許してくれるとは思えませんでした。事実――」
「最初から母上を説得する気もなく試しを受けたということね。」
「はい」
険しい顔つきで、柳は葉慶を見据えた。
「医術所は人の命を預かる場所です。親とろくに話もしないで医術所の試しを受けるなんて、あなたはどういう了見をしているの」
葉慶はその言葉に抗わなかった。
「……どうしても、医術所に入りたいのです」
「何故」