リア恋DASH!
再び写真に目を落とした。

優しい笑顔の羽鳥

羽鳥はすごくこの子が好きだったんだろうな。


なんであんなことあたしに頼んだんだろう。


今となってはもう聞けないけど、

羽鳥にとって彼女にサヨナラを言いたかったのかななんて、

都合のいい解釈をする。


羽鳥、あたしは羽鳥が気になってしょうがないよ。


「彩夏、この写真あたしに頂戴。」


「え?ああ。いいけど、あんた執事キャラ系好きだったけ。」


「うん。すごく好き。」


「いいよ、いいよ。

 そっかそうだったんだ。いつの間にね~♥

 じゃあ来週ある執事イベ一緒に行こう!」


「え?来週はちょっと…」


「え~新作映画の真っ黒執事イベなのに残念だね。」


「う~ん。残念だなあ。次何かあったら教えて。」


「了解。じゃ、これもこれもあげるよ。

 嬉しいな。

 これからは、望南と一緒に執事イベで盛り上がれるな~」


「あ、ありがと。」


いや、一枚でよかったんだけどね、

私の手には、この秋公開になるまっ黒執事ネタのコスの生写真が

数十枚握らされた。


はは、今更ながらハマってるなあ彩夏も。



「ああ、急にトンちゃんに会いたくなっちゃった。


 ごめん望南。


 あたし5組行ってくる~」



トンちゃんとは彩夏の彼。


これが、ちっともイケメンじゃない。



子豚くんみたいなコロンとした男の子。



彩夏は彼をトンちゃんと呼び可愛がっている。


ちょっと前にあった


アクセスワールドというアニメの主人公の男の子に似てる

と夢中になって以来、

猛アタックでゲットしたんのだ。


彼女はリアルでもちゃんと恋愛してる。


< 18 / 88 >

この作品をシェア

pagetop