リア恋DASH!
トイレ横のベンチ。

涙腺緩んだあたしは持ってた小さいハンカチタオルじゃ

抑えきれないほど

泣いちゃって、

羽鳥を呆れさせた。

ガタガタンッ

隣にあった自販機でドリンクを買った羽鳥は、

「ほれ、水分補給しとけ」

と言ってスポーツ飲料を手渡した。


「あたし、これ好きくない…し」


「涙分の水分だからそれでいいの。」


どうせなら美味しいものが嬉しいのに、

渋々キャップを取って飲み始めると、

ふふっ

と、笑って自分も炭酸を煽った。


「うめ。」


半分位一気に飲んでから、

「あのさ…」


ぼそぼそと話し始めた。


「俺は、中2の終わりに引っ越してきたんだ。

 安土も一緒にね。


 親の仕事の関係でさ。ああ、同じなんだ会社。

前は群馬に住んでて、同じ社宅で、同じ学校。

 小学校の時から俺、あいつのこと好きでさ、

 けど、

 中学で接点なくて、

 そしたら、さっきいた奴、

 能勢って言うんだけど、いつの間にか付き合い始めてた。

 で、俺らは、親の都合で引っ越してこっち来たんだけど、


 純愛っていうのかなあ、

 離れ離れになっても想いあってて


 俺は隙あれば横取りしてやろうなんて、狙ってたんだけどさ、

 俺なんか眼中にないっていうか、

 ほんの一瞬でも、俺のことなんて見てくれることはなくってさ。


 この半年ぐらいあの二人音信不通で事実上別れてた状態だったのに

 そばには、ずっと俺がいたのに、

 何度も好きだって言ったのに


 相手にもされなかったよ。


 この間のスマイル超ミーティングあったじゃん。


 あの時、俺、あいつの背中押しちゃったんだよな。」




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