リア恋DASH!
帰りの電車で羽鳥は

今日のことを楽しそうに話していたけど、

適当に相槌打ちながらあたしは電車から窓の外を見ていた。


羽鳥はあたしのことどう思ってるんだろう。


あたしに偽の恋人を頼んだのだって

きっと適当だった

後で面倒にならなそう…


確かそう言ってたっけ。


どうすんのよ。


好きになっちゃったわよ。


面倒になっちゃったじゃないって言ってやりたい。


あたしの中は羽鳥でいっぱいになって、

羽鳥は羽鳥は今、

どうなってるの?


あたしが羽鳥を見上げると、

羽鳥はニッと笑う。


「羽鳥、あたしさあ…」


そう言いかけた時。


「そうだ、これお前にやるよ。」


そう言ってハンDOの袋を渡した。


「これ…」


「作って渡そうと思ったけど、

 自分で作ったほうが絶対楽しいと思うから。」


「あ、ありがとう。」


「いや、俺こそ、今までサンキューな。


 もう、代わりなんてこと頼んだり絶対しないから安心しろ。」


そう言ってちょっと照れくさそうに、

視線をそらした。



あっそか、

今、羽鳥に釘刺されたんだ。


その気になるなって、

これで前のただのクラスメートの関係に戻ろうってことか。


あたしはぎゅうっと羽鳥にもらった袋を握って、

うつむいた。


キツイな

サヨナラよりもっと辛いよ…


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