リア恋DASH!
けど、今度は涙は出なかった。


はじめからそのつもりだったし。


今日一緒にいたことだって、

フェイントだったんだもん。


あたしはここで笑ってあげなきゃだよね。



羽鳥はこれから、安土さんを吹っ切って

自分の生き方を探したいんだもの。


これからはもっといろんなことに積極的になるかもしれないし、

挑戦とか、

彼女とかだってできるかも

そういう時、

中途半端に知ってるあたしは邪魔になるだけだ。


「羽鳥。

 今日面白かったね。」


あたしは精一杯明るく言った。


「そうだな。面白かったな。」


「今日買った本でも読もっかな。」

そう言いながら、バッグの中から、

今日買った本を引っ張り出した。


BLじゃないよ。

羽鳥のおすすめのラノベ買っておいたんだ。


あたしが広げて読み出すと、

羽鳥は少し離れて座り直して、窓の外を黙って見ていた。


停車駅まで

閑散とした車両にアナウンスが流れるまで、

あたしたちは別々に静かに時間を過ごした。


それは今日という日は忘れて、

ただのクラスメートに戻るための儀式のようだった。










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