You are my light
もしかして、莉都って私をトラブルに巻き込む天才かもしれない、なんて本気で思ったのも無理ないと思う。
「ん?キミどっかで……」
「教室間違えました。すみません」
とりあえず逃げよう。
この心理は私と同じ状況になった人ならほとんどの人がとる行動だと思う。
顔を見られないように俯いて通り抜けようとする。
「ちょい待ち」
ぱし、と横を抜けるときに腕を捕まれる。
「な〜んか……どっかで会ったような………」
じろじろと遠慮のない視線を感じる。
どうしよう……
「あ。すうくん見っけ!!」
「おぉ、莉都」
捕まれていた腕の圧迫感が消える。
今回ばかりは莉都に感謝。
「ごめん莉都。急用思い出したから行くね」
「えっ、みぃちゃん!?」
戸惑っているような莉都に心の中で謝って私は教室に行った。
教室までの道を少し走りながら思う。
なんか、面倒なことになりそうだ。
そしてこの予感は見事に的中することになるが、それに気づくのはもう少し先のことだった。