You are my light
すると朱雀は満面の笑みを作って言った。
「匂いで」
「変態」
あのときか。
朱雀が私を急に引っ張ったとき、確かに匂い嗅がれてたな。
「いやな、莉都がさっき猫ちゃん連れてきたときは全然気づかんかったんやって。な〜んか見たことあるなぁ、ぐらいで」
ニコニコしながら朱雀は話を続ける。
「んで、今ここ通りかかったら声聞こえてな。
猫ちゃんをキャッチしたときに匂いで気づいた、っちゅうわけや」
気づいたのはさっきですか。
はぁ、とため息を洩らす。
「……誰にも、言わないでよ」
「分かっとるって。ワシも、まだ死にとうないからな」
よかった…一応最悪の状況も考えてたわけだからね。
「そのかわり、一つワシのお願い聞いてくれるか?」
…………え。
「……どう考えても私の方が朱雀に貸してるよね?」
「まぁまぁ、カタイこと言わんといてぇな」
えー………
私の不満そうな顔を見て朱雀は、うーん、なんて言いながら何か考え始めた。
……同じこと莉都もしてたな。莉都の方が断然かわいいけど。
あっ、と朱雀が小さく呟く。
何か思い付いたのかな。
「なら取引っちゅう考え方ならどうや?」
「取引?」
「そぉや」
良いことを考えたぜっ、的な顔をする朱雀が物凄く子供っぽく見える。