You are my light
「なぁ、満月。海なんか来て大丈夫なん?」
「……?」
「それ、かつらやろ?」
せめてウィッグって呼ぼうよ。
「大丈夫。濡れても平気な特注品らしいから」
事前にかな兄と音兄には確認してある。
「ふーん。ほんならえぇけどな。あ、着いたで。さっさと着替えて来るんやで?」
「はーい」
私は軽く返事をして更衣室に入った。
待たせるのも悪いし、さっさと着替えないとね。
「うーん、大丈夫かな」
更衣室にあった鏡で全身を確認する。
と言っても上着越しに肩の"印"が見えないかどうか見るだけなんだけど。
音兄が選んだだけあって、着てみると上着は厚手で濡れても透ける心配はなさそう。
さすが音兄。
「そろそろ行かないと。朱雀、待ちくたびれてるかな」
鞄を持って更衣室を出る。
朱雀は壁に寄りかかって私を待っていた。
うわぁ……無駄に色気が出てる。
近くを通る女の人たちが熱い視線を朱雀に向ける。
気づいていないのか、気づいていないフリをしてるのか……
「朱雀、お待たせ」
そう声をかけると朱雀がこちらを見て驚いたように目を見張った。
「ほぉー……」
「?」
人の体をじろじろ見て……失礼な。