You are my light
しん……とした空気が流れる。
薄いレースのカーテンの向こうに、うっすらとソファとテーブルの影が見える。
しばらくしてカチャ、というガラスのぶつかる音がした。
「こちらに来てはどうですか?白猫さま」
「…何故、」
私が、白猫だとバレている……?
こいつらは、私が双翼の姫だから私を狙っていたんじゃないの?
「…………」
周りに十分警戒しながら私はゆっくりと近づき、そっとカーテンを引いた。
最初に感じたのは豊かな紅茶の香り。
ぬるい湯気が立ち上っている。
ソファからすっと立ち上がった姿を見て、この人がさっきの声の人なんだと納得する。
「はじめまして。このような手荒なマネをして申し訳ありません」
笑み一つ浮かべない顔。
影のある虚ろな瞳。
単調な声色。
「自己紹介がまだでしたね」
少女はスカートの裾をあげて右の太股を見せた。
ドクン、と心臓が嫌な音をたてる。
間違い、ない………この子は………
「私の名前はdoll。貴方と同じ、BCMの暗殺者です」
私と、同類だ………
彼女の右の太股には、赤い三日月に包まれるように"No.1"の数字が入った"印"が刻まれていた。