You are my light
私の声でdollは振り返る。
何も映していない瞳に微かに疑問の色を浮かべて私を見た。
何故そんなことをしたのか、自分でもよく分からない。
私はウィッグとカラコンを取りdollを見た。
「あるのなら、あなたの本当の名前を教えて。dollじゃない、本当の名前を」
「…………」
「私は満月。泉 満月」
「……私は、サチです」
そう言ってサチは窓から飛び降りた。
私たちにとってのこの高さは障害でもなんでもない。
多分、逃げ道とかも決まってるんだろう。
部屋にあった鏡を見ながらカラコンとウィッグをする。
「また、会えるかな……」
死と隣り合わせのサチ。
私もいたから分かる。
再び会えることの難しさを……
「死なないで……」
そう呟いたとき、バンッ、と扉の開く音がした。
突然のことで思わず肩がビクリ、と揺れる。
……びっくりした。
「満月っ!!」
え……この声………
「満月、いるのかっ!?」
シャッ、と乱暴にカーテンが開いた。
「太陽?」
「っ、満月!!」
どうしてここにいるの?と言う疑問を口にする前にぎゅっと太陽に抱きしめられる。
あぁ……太陽の温もりだ。
不思議と安心する……