You are my light
温かな手に私は目を閉じた。
「そうしないと、生き残れなかったからね」
「……そうだったな」
思わず言ってしまった言葉と、かな兄の返事にハッとしてかな兄の顔を見る。
その顔は悲しそうで、余計なことを言ってしまったかもしれないと、少し後悔した。
だけど、かな兄はすぐにいつものような明るい笑顔を浮かべる。
「音がもうすぐ調べ終わるってさ」
「……ん、分かった」
ベッドから下りて、かな兄のあとを追うように部屋を出る。
音兄は今終わったばかりなのか、パソコンから顔をあげた。
メガネを取って背伸びをする姿は珍しいと思う。
じっと見ていると、音兄とぱち、と目があった。
「さすがBCMの情報……ガードが固くてね。苦労したよ」
苦笑をもらす音兄に、申し訳なさが募る。
もしバレたら、音兄やかな兄、その周りの人々にも危険が及ぶかもしれないのに。
私は自分のことだけで手一杯で、二人のことを考えもせずに……
そこまで頭に回って今さらながらに、背筋が凍った。
「そんな顔すんなって」
ぽん、と私の気持ちを察したようにかな兄が私の頭に手をのせる。
「そうだよ。これは僕が僕の意志でしたことなんだから、ね?」
二人の困ったような笑顔が私に向けられる。
そう、だよね。
私がこんな顔をしちゃダメだ。二人まで悲しい思いをさせてしまう。