You are my light
かな兄はいつものことだからいいとして、音兄が本気でやろうとしているのか、上着とネクタイを脱ぎ捨てた。
…………って、違う!!
「何やってんの2人とも」
「あ、」
「満月」
ふ、と周りに漂っていた不穏な空気が霧散した。
それはよかったんだけど……
「かな兄、何その格好」
「お。似合ってるだろ?」
キラキラとした瞳で見られて思わず目を背ける。
どうしよう……この場合、なんて答えるのが正解なのだろうか。
「みーっつき?」
「……うん。似合ってるよ」
「本当に?」
「う、うん……」
まぁ、似合ってるのは……本当だ。そこに嘘はない。
でも、でもね、かな兄。いい年した大人がしてもいい格好だとは思えないよ。確実に。
「満月、はっきり言ってもいいんだよ。『恥を知れ』ってね」
爽やかな笑顔で言いきったな、音兄。
しかも超笑顔。当然の如く黒い方の。
「何言ってんだよ。似合ってるって言ってただろ?」
「それとこれとは別。満月や僕に見せるならまぁともかく、」
目線で訴えた先には朱雀の姿が。
……完っ璧に忘れてた。