ベイビー、君は僕のもの
──どうして。かなちゃんは、わたしの幼なじみなんだろう。

かっこいいかなちゃん。マイペースなかなちゃん。頭のいいかなちゃん。ちょっと自己中な、かなちゃん。

……そのとなりで、かわいげなくむくれているわたし。


かなちゃんはいつだってやさしくて、いつだって、わたしが何かをする理由になる。

かなちゃん自身に、そんな気がなくたって……わたしはいつも、『かなちゃん』という存在に縛られている。

……それはきっと、良くないことなんだよね?



「──かなちゃん、」



うつむいたまま、小さく、名前を呼んだ。

ん? と首をかしげて、かなちゃんがわたしを覗き込む。



「かなちゃん、あのね。わたし、彼氏ができるかもしれない」

「……は……?」



言ってからわたしは、どうしてこんなことをかなちゃんにわざわざ報告しているんだろう、と思う。

いくら幼なじみだからって、こんなふうになんでも話す義務なんてない。

だけどわたしは、止まらなかった。
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