ベイビー、君は僕のもの
「今日ね、同級生の男の子に告白されちゃった。前から気になってたんだ、だって」

「………」

「素直に、うれしかったよ。そんなふうに言ってもらえるの、初めてだったし」

「………」



……普段から。

わたしと一緒にいるときでも、かなちゃんのケータイには、わたしが知らないいろんな人から、遊びのお誘いの連絡が入ってくる。

そしてその相手のほとんどが、女の人からだった。

……だからこれは、ほとんど彼に対する当てつけのようなものだ。

わたしにも、かなちゃんの知らない世界があるんだって。そんなふうに、教えたかったのかもしれない。


わたしの顔を見つめたまま、彼は静かに口を開く。



「その男と、付き合うのか？」

「まだ、わかんない」

「……そう」



小さく、ため息が聞こえた。

そのため息の意味がわからなくて、わたしは少しだけ顔をあげる。

するとこちらをじっと見ていたかなちゃんと視線が交わって、ドクンと心臓がはねた。
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