ベイビー、君は僕のもの
「そ、それでね。あさっての土曜日、その男の子とデートするんだ」

「は……?」

「もっとお互いをよく知るためだって。楽しみだなー」



勢いにまかせて、わたしは心にもないことを言った。

津川くんには悪いけど、わたしはデートが楽しみで待ち遠しい、なんて、そんな気持ちにはなれなかった。

ただ、これでいいのかな、なんて。自分に対する疑問ばっかりが、頭の中を駆けめぐる。


かなちゃんは、ふぅん、とよく感情の読めない様子で呟いた。



「……どこ?」

「え?」

「デート、どこ行くって?」

「え、えと、まだはっきりわかんないけど……たぶん、駅前の方」

「そう」



頷いて、彼はまっすぐにわたしの目を見る。
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