ベイビー、君は僕のもの
「……うん。わかってるし、当たり前。俺が月乃を嫌いになるなんて、絶対にありえないよ」

「……ッ、」



ポンとやさしく、頭に大きな手が乗せられて。

そのとたん、嘘みたいにわたしの目から、今までこらえていたはずの涙が溢れてきた。


──どうして、かなちゃんの手はこんなにもあたたかいんだろう。

子どもの頃、道ばたで転んだときだって。

友達と、喧嘩したときだって。

かなちゃんは強がるわたしの弱さを簡単に見抜いて、いつだって、やさしく頭を撫でてくれる。

わたしはこのあたたかい手に、いつも泣かされてしまうんだ。


彼はわたしの頭を撫でる手はそのまま、耳元に唇を寄せてささやく。



「ごめんな、月乃。……下手に大人ぶらないで、俺が正直に言えばよかったんだ」

「ッふ、え?」

「……俺以外の男のところになんて行くな、そんな奴に構うな、って」
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